2014年ブラジルW杯 アジア3次予選 vsウズベキスタン

Uzbekistan 1 - 1 Japan
Jeparov 8’
Okazaki 65’

あの内容とアウェーでの戦いということを考えると、引き分けの勝ち点1は悪くない。あと少し運があれば勝てた、という方もいらっしゃるだろうが、それはカウンターから決定的なチャンスを2度迎えた相手も同じ。妥当なスコアではないか。以下、感想。



システムは北朝鮮戦と同じ、4-2-3-1。キーパーはドヤ顔でおなじみ川島、バックスは右からイケメン内田、マヤ吉田、J2所属でもザッケローニからの信頼の厚い今野、左でも黙々と仕事をこなす駒野の4人。中盤は遠藤と長谷部のダブルボランチに岡崎と香川のサイドアタッカー+トップ下の阿部という布陣。北朝鮮戦ではトップ下を柏木が務めたが、気負いすぎたのか精彩を欠き、あえなく今回のメンバー変更となった。そして1トップは李。以上がスターティングメンバ―である。

先制したのはウズベキスタン。左ポスト直撃のシュートで日本守備陣をヒヤリとさせた直後のことだった。左サイドからのクロスに今野が対応するも、クリアが中途半端。ドフリーのJeparovが蹴りこんでゴール。今野のクリアがお粗末だったのは否めないが、本来であればゴールを決めたJeparovには誰かしらがついていなければならない場面だ。ハイライトで見るとわかるが、無駄に人数ばかり多く、それでいて全員がボールを見ている。それではディフェンスの意味がない。ザッケローニが怒りそうである。

先制後、日本も即座に取り返そうと李が決定的なヘディングシュートを放つが、ウズベキスタンキーパーがナイスセーブで得点を許さない。その後ウズベキスタンはしっかりとスペースを埋め、中盤で激しくプレスをかけるようになり、完全に主導権が逆転。中盤の一枚である阿部が長谷部と遠藤との適切な距離感を見出せていなかったこともあり、中盤から香川や岡崎にボールが入らなくなる。ましてや最前線の李にはまったく入らない。結果、日本は激しいプレスに耐え兼ね苦し紛れに出したパスを奪われ、何度もウズベキスタンショートカウンターを繰り出されていた。前半の終盤、長谷部の絶妙なロングパスから最後は李がドフリーの状態でシュートを放つもあえなくポスト直撃。決定機を作りながら、全体を通してみると押されている前半だった。

後半、ザッケローニはまるで機能していなかった阿部に代えて清武を投入。阿部が戦術を理解していなかったのはもちろんあるだろうが、それ以前の問題で、運動量も少なく、敵に奪われないように体を張るシーンも見られず、パスも中途半端で受け手にも出し手にもなりきれていなかった。結果、阿部のところが狙われた。戦力どころか足を引っ張っていた状態では代えられても仕方がない。

清武が入ったことで、遠藤と長谷部、そして香川は明らかにやりやすくなったように見受けられる。清武の投入により、内田との連携で右サイドを崩そうとする作戦を体現できるようになった。実際に同点に追いついたのは、遠藤の右サイドへのパスから内田→岡崎という攻撃だった。岡崎はこのゴール以外、取り立てて良いプレーを見せたわけではないので、特に評価も感想もない。しかし内田には一定の評価を与えたいと思っている。彼に対して世間では批判が多いが、サイドバックのクロスとしては精度の高いボールを送ることが多いうえ、ビルドアップにも絡める貴重な人材だ。もう少し運動量が増やせると良いのだが、そこはドイツで肉体改造に励んでもらいたい。後半は積極的に攻撃に絡めており、ザッケローニからも一定の評価を与えられそうだ。売出し中の若手サイドバック(内田も若いのだが)、酒井がA代表デビューを飾るのはもう少し先のことか。

後半で攻撃は改善した一方で、守備は逆に不安がぬぐえない出来。今野がすぐ振り切られる場面が目立ったし、ペナルティエリア内のスペースを誰もうめようとしないし、3対6の数的優位な状態でもあっさり縦へのスルーパスを通されるなど、相手がもう少し冷静だったら勝ち越しの失点をくらってもおかしくなかった。最後は勝ち点1を確保するため、センターバックの槙野を投入して守備の穴を埋めさせたが、あくまでも場当たり的な対処であり、根本的な解決にはならない。今後、仮に吉田と今野のどちらか、またはどちらも欠けた場合、どのように対処するのか、ザッケローニは考えているだろうか。

総評としては、負けててもおかしくなかった試合で最低限の結果を残せて良かった、それ以上でもそれ以下でもない。本田は最短でも年末まで戻ってこられないし、それよりも治療が長引く可能性だってあるのだから、ザッケローニは急いで代役および代替戦術を構築しなければならないだろう。そのときは是非今回の対戦の反省点を活かしたメンバー構成、戦術を採用してほしいものである。